【完】DROP(ドロップ)
「俺なんか、いっぱいいっぱいなのにさっ」
顔は見えない。
見えないけど、圭矢が拗ねてる様に感じた。
なん……で。
「慌てて躓いてダサイしね」
目を見開いた。
もしかして、圭矢。
あたしと同じ事、思ってくれてたの?
さっきの淡い期待。
そっちだって思っていいのかな。
「もしかして、帰えるなって言う為に急いで躓いたの?」
「……悪い?」
今ね、あたし。
顔、絶対に真っ赤だよ。
すっごくすっごく真っ赤。
こんな顔、本当なら隠していたい、だけどね?
あたしが振り返ると少し緩んだ腕。
背中から、あたしを見上げる圭矢。
圭矢、あたし並に顔赤いよ?