【完】DROP(ドロップ)



クーラーは店内のみ。

倉庫はシャッターが全開なだけで、夏の暑い風がたまに入って来るくらいで蒸し風呂状態。



ダンボールを、カートに乗せて店内へと運ぶ。



「重……っ」



たった、それだけの事なのに、この重いダンボールは何?



お世辞でも可愛いとは言えない、制服は暑いのに長ズボンで。

流石にダサイからか上のシャツは、男の子がブルーで女の子はピンク。

小さなお洒落かもしれないけど、大して変わらない気もする。


エプロンは、胸元に大きくお店の名前が入っていて。


下ろしていた髪は、1つにまとめ、
極めつけは首にタオル。



本当ならしたくはないんだけど、してなきゃ、やってらんない。


こんな姿、絶対圭矢には見られたくないなー。


カートに、ダンボール2つを乗せて、後1つ。


3つ重ねて、運ぶんだけど後1つがどうしても持ち上がらない。



ん~んん~!!!



重いダンボールを持ち上げていたら、フッと軽くなって2つ重ねたダンボールの上へと簡単に乗ってしまった。


あれ?


3つ重ねられたダンボールを見つめ、その先に見える、ブルーのシャツを着た人の胸元から目線を上へと向けた。



「持てないなら、初めからやんな」



目が合った瞬間、冷たく言い放った同じ持ち場の瀬戸 巧(セト タクミ)

同じ高校の1年で口の悪い男の子。



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