【完】DROP(ドロップ)



「お先失礼しまーす」



倉庫で作業する、あたしにまで聞こえてくる大きな声。



「お疲れ様でーす」



こんな大声は、菜摘しかいない。

倉庫から顔を出したあたしを見つけて、大喜びで走り寄って来た。



「菜摘、声大き過ぎ…」

「雫ー、お疲れ♪」



毎度の事ながら、話を聞いてくれない菜摘は嬉しそうに微笑んでいた。



「何か、嬉しそうだね?」



そう言ったあたしに、グィッと顔を寄せると、



「何言ってんの! 明日は遅番なのよっ」



と、満面の笑み。


あぁ、なるほどね。
そういえば朝、寝不足って言ってたもんね。




< 245 / 374 >

この作品をシェア

pagetop