【完】DROP(ドロップ)
「お先失礼しまーす」
倉庫で作業する、あたしにまで聞こえてくる大きな声。
「お疲れ様でーす」
こんな大声は、菜摘しかいない。
倉庫から顔を出したあたしを見つけて、大喜びで走り寄って来た。
「菜摘、声大き過ぎ…」
「雫ー、お疲れ♪」
毎度の事ながら、話を聞いてくれない菜摘は嬉しそうに微笑んでいた。
「何か、嬉しそうだね?」
そう言ったあたしに、グィッと顔を寄せると、
「何言ってんの! 明日は遅番なのよっ」
と、満面の笑み。
あぁ、なるほどね。
そういえば朝、寝不足って言ってたもんね。