【完】DROP(ドロップ)
「あ、そうだ! この後、松本君とカラオケ行くんだけど、行かない? って遅番終わってからだし無理…だよね」
「あ……行くっ」
「え? 来るの?」
驚いた顔で、あたしをまじまじと見つめる菜摘。
何よ、自分から誘ったくせにさー。
そんな菜摘を、少し膨れて見返した。
「いや、だって雫がOKするなんて珍しいじゃない! 何かあったの?」
あたしの顔を見て、言いたい事がわかったのか苦笑いをみせて尋ねてきた。
「べ、別に何もないけどー」
「ふーん。ま、いっか。あ! 瀬戸君も来るから一緒においでね!」
えっ!?
巧も!?
驚いたあたしが言おうとする前に、菜摘は背中を向けて走り出してしまった。
ちょっとー。
そんなの聞いてないよー。
いや、普通に。
普通に接してるんだけどね。
やっぱり、何となく気まずいってのはあるんだから。
でも今更、断ったら巧が俺が居たから? とか思っちゃうかもしれないし。
仕方……ないよね。