【完】DROP(ドロップ)
圭矢に掴まれた腕が圭矢の胸へと引き寄せられた。
もう片方の手で、あたしの肩を抱く。
え……。
見上げると、あたしじゃなく巧を睨む様に見ている圭矢。
その視線を、ゆっくりと目で追う。
「KEI!?」
あたしが、巧を見たのと同時に巧が眉間に皺を寄せて呟いた。
ヤバイ。
バレた!
「ちっ、違うの、そっ、そっくりだけどね…」
「だから、何?」
圭矢の腕の中で焦ったあたしが、絶対バレる様な嘘を必死に、真剣に言ってる途中で声が重なった。
何で、自分でバラすの、圭矢!?
「あぁ……何となく全部わかった。言えなかった理由ってそれか」
圭矢から、あたしに視線を向ける巧。
あたしは下唇を強く噛んで視線を逸らしてしまった。
「何がわかったの?」
冷静で、低い声が、誰も居ない店先に響いた。