【完】DROP(ドロップ)
「な、何で知ってるの!?」
驚いて言うあたしに、呆れた顔をして
「そりゃ、さっきので気付かない方が鈍感過ぎる」
って、冷たい声で言われてしまった。
そうか……。
そりゃ、そうだよね。
シュンとしたあたしに、また振ってきた冷たい声。
「で、返事は……どうしたの?」
あ、それで“で?”って聞いたんだ。
プルプルと顔を横に振って、
「断ったよっ」
と言うと、圭矢はふーんと、また違う方を向いてしまう。
「圭矢ぃ?」
何も言ってくれなくて。
「圭矢ぃ?」
こっちも見てくれなくて。
「圭矢ぃ?」
また、簡単に流れ出してしまう涙。
絶えて絶えて絶えていた涙は、まだ沢山残っていた。