【完】DROP(ドロップ)



「ねぇ、圭矢。どうしてバイト先まで来てくれたの?」



やっと泣き止んだあたしが、尋ねると話を誤魔化そうとした圭矢。


だけど、バイト先にまで来るなんて危険なマネをしておいて簡単に流せるわけもない。


だって、バレたら大変だよ?

それでなくても、杉下奈央さんの事だってあるのに……。



「……雫が……から」

「へ!?」



聞こえるか聞こえないかの小さな声で言うから、所々聞き逃してしまう。



「雫が! 今日、来ないって言ったから」



はい?
それだけで。



「それだけでバイト先まで来たの?」



って、言ったのは失敗だったかもしれない。


頬を膨らまし、拗ねてしまった圭矢。



あ……。



ちょっと冷たい言い方だったかな。

でも、圭矢って案外子供っぽいところがあるんだ。



そんな圭矢を見て、少し笑ってしまった。




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