【完】DROP(ドロップ)
「何だよ、急に呼び出して」
「うるさい、近所迷惑だから」
「うっわー。機嫌悪いねー」
玄関のドアの閉まる音が聞こえたと思ったら、ドンドンを大きな足音が近づいてくる。
近づく足音に、男の人の声にその場でアタフタするだけのあたし。
だって、来るのは杉下奈央さんでしょう?
それなのに、男の人の声がするよ?
これって、どっかに隠れなきゃだよね。
えーっと……。
「だから、何なんだよ。呼び出した理由……ってのは」
リビングのドアが勢いよく開き、その場にあったティッシュの箱で一応顔を隠してみた。
けど、勿論そんな小さな物で隠れれる程あたしは小さくない。
ティッシュの箱を横へとずらし、入って来た人をチラッと見るとバッチリ目が合った。
ニッコリと微笑んだ、その人へ満面の笑みを返す。
後に居る圭矢へと振り返ったその人は。
自己紹介をしなくても名前を知っている人で。
あたしも観た事のある……
DROPのRIKUだった。