【完】DROP(ドロップ)
「何、圭矢。お前、彼女居たの!?」
嬉しそうに笑った陸さんは、あたしのそばへとやって来た。
「勝手に近づかないでくれる?」
冷たく言い放つ圭矢に諸共せず、
「名前、何て言うのー?」
軽いタッチで聞いてくる。
圧倒されたあたしは
『雫です』
と素直に答えてしまった。
「雫ちゃんかぁー」
あたしの隣に座った陸さんに呼ばれた名前に、不覚にもドキッとしてしまった。
芸能人って圭矢しか見た事がないけど、皆こんなにキラキラ輝いているものなの?
オーラというか、放つ空気が違う気がする。
陸さんの周りだけは近寄りがたい、でも和やかな空間が出来ているように思った。
「ちょっと、陸。いい加減にしな」
そう言って、陸さんの頭をはたいたのは、杉下奈央さんだった。