【完】DROP(ドロップ)
「圭矢君、おはよ♪」
「……今日も?」
ニッコリ笑いかけるあたしに、明らかに疲れた顔をする。
そ、それでもめげないもん!
他愛もない話を繰り返す。
だけど、こんな毎朝を繰り返しているお陰で、色々と知った圭矢君の事。
好きな歌手や、好きな本。
家が案外近くだった事とか。
今、彼女はいない事。
今日も何か収穫があるかなー♪
「あ、電車来たよ」
ガックリ。
ホームへと流れるアナウンスに肩を落とした。
いつもなら15分は喋れるのにぃーーー!
仕方がなく乗り込む普通電車は今日も満員。
はぁーっと重い溜息を零しながらも、今日こそは圭矢君の隣をゲット!
と思った期待は、やっぱり期待で終る。