【完】DROP(ドロップ)
あたしの彼氏は、こんなにかっこよくて。
しかも人気のある芸能人。
そんな人が、今あたしの目の前に居る。
たまに見せる切なそうな顔とか。
苦しそうな声とか。
愛しい笑顔とか。
意地悪なところに、凄く優しい腕。
全部があたしの為にだけあって。
演技じゃない本当の姿。
これは、全てあたしだけのものなんだよね?
これからも……ずっと。
そう信じていいんだよね、圭矢。
抱きしめていた腕が緩まる。
あたしは、圭矢の方へと体を向けた。
恥ずかしそうに、チラッとあたしを見つめると
「そんな見ないでくんない?」
なんて可愛く言うのは反則だと思う。
“可愛い”は女の子の特権なのに。