【完】DROP(ドロップ)
「圭矢……好き、だよ」
「……うん」
だから反則だってば。
頬を赤らめた圭矢が可愛い。
「雫ー……」
今度は、あたしが呼ばれた声に
『うん』
って返事する予定だったのに。
その声は、圭矢の唇によって奪われた。
薄くて、でも柔らかくて。
あたしより、少し冷たくて。
少し開いた隙間から絡む舌は、唇の冷たさが嘘みたいに熱い。
激しく求める圭矢に、あたしの力では追いつかない。
それでも、髪に絡んだ指が。
頬を擽る指が。
激しくも優しいキスが。
あたしの中のいっぱいを更に満たして。
全てが圭矢の色に染まるんだ。
離れた唇。
絡める視線。
圭矢は、さっきまでの“可愛い”じゃなく。
“かっこいい”圭矢になってしまっていた。
ねぇ、圭矢。
この気持ちを人は
――愛してる
そう言うのかな?