【完】DROP(ドロップ)
だけど、人気女優とアイドルグループの熱愛報道なんて事務所が許すわけもない。
それは、陸もわかってたみたいだけど。
それより、奈央と陸の事がバレて奈央が、女関係の酷い陸に遊ばれている、そう言われるのを1番に嫌がっていた。
だから、俺のマンションに部屋を借り、そこでデートしてたんだ。
もし陸が書かれても、俺のところに遊びに行った。で済むし、奈央も俺と同じマンションだ。で済む。
だけど予想外だったのが、陸と奈央が出歩いた事。
「外を一緒に歩くなんて……」
「まじ、ごめん! ティッシュがなくてさ」
「……ティッシュ」
「そうだよ、ティッシュがないと大変だろ? でも夜遅いから奈央ちゃん1人にさすわけには、いかないし。俺が1人で行こうと思ったのよ? だけど奈央ちゃんが欲しい物あったらしくてー」
「ティッシュ何に使う為に?」
低い声で尋ねたら、ニヤッと嫌らしい笑みを陸は零した。
「えー、圭矢くぅん。トイレの為だよ? 他に何があ・る・の?」
俺をツンツンと突きながら笑う。
カッとなった俺は、
「べっ、別にっ! てか、ティッシュ位、俺んところに取りに来てよ」
と必死に冷静になる。
一瞬でも、考えてしまった陸と奈央の……。
だー。
俺、欲求不満な奴みたいじゃない。