【完】DROP(ドロップ)
「夜中だったし迷惑かなー? って思ってさ」
「こっちの方が迷惑」
ポンッと机に週刊誌を投げて小さく溜息をついた。
雫、気にしてないかな。
まさか信じたりしないよね。
電話してみようかな。
そう思って開いた携帯の電源を入れると、画面にはデジタル時計が表示されていた。
あ。
雫、バイトの時間だ。
着信を残せば、雫は電話に出れなかった事を凄く謝る。
――パチン
後でかけ直そう。
そう思って携帯の再び電源を切り、2つに閉じた。
だけど、次の日もその次の日も、俺が開いている時間は雫のバイト中で。
中々、話す事が出来なかった。
それに、雫から来るメールには、奈央の事なんて全く書いてなかったんだ。
だから、俺は安心してたのかもしれない。
雫は信じてくれている。
俺の事を好きでいてくれるってね。