【完】DROP(ドロップ)
やっと出来た少しの時間。
皆が水を飲んで休憩する中、俺は楽屋へと走り携帯を開いた。
電源を入れて、時間を見て考える。
バイトが終わってるか、終わってないか微妙な時間帯。
だけど、俺だって雫の声が聞きたい。
メールだって、本当は返したいのに。
仕事が終わってホテルの部屋へ戻る頃には、記憶が曖昧で。
ベットに倒れこんだら、次気付いた時は朝。
何件も雫へ送ろうとしたメールが未送信のまま送信BOXに残っている。
――プルルルルル……
耳にあてた携帯から聞こえる呼び出し音。
出てくれたらいいな。は、出て欲しいな。になって。
――プルルルルル……
出てくれないかな?
――プルルルルル……
出てよ。
最後は自分勝手な思いへと変わってしまった。
《もっ、もしもし?》
向こうから聞こえた声が素直に嬉しかった。