【完】DROP(ドロップ)
ドアを開けると、陸を止める奈央と目が合った。
苦笑いの奈央に、呆れた顔を向ける俺。
そんな俺達に気付かず、自分の家かの様に靴を脱ぎあがる陸。
「何だよ、急に呼び出して」
「うるさい、近所迷惑だから」
「うっわー。機嫌悪いねー」
後からついて歩く俺の方を振り返り、悪戯に笑った。
「だから、何なんだよ。呼び出した理由……ってのは」
何の躊躇もなく、勢いよく開けたリビングのドア。
そして、また俺の方へと振り返って、
「何、圭矢。お前、彼女居たの!?」
嫌らしい笑顔をを見せた。
やっぱり、陸を呼んだのは失敗だったかも。
ちょっと後悔してしまう。
そのまま雫に近づき、馴れ馴れしく話し出した。
いい加減止めようかと思った俺より、先に足が動いたのは奈央だった。
「ちょっと、陸。いい加減にしな」
「奈央ちゃん、痛いよー」
「うるさいよ。ビックリしてるじゃない、雫ちゃんが」
奈央に叩かれた陸は、一気に凹んで笑えるよ。