【完】DROP(ドロップ)
笑ってる俺に気付いた陸が、奈央から逃げる様に俺へと話を振る。
陸はいつも子供みたいな言い合いをするから、俺もつい言い返してしまっていた。
すると、それを見て雫がクスクス笑っていたんだ。
「雫、何笑ってんの?」
恥ずかしくなった俺は、チラッと横目で雫を睨んだ。
「あ、ごめん」
謝ってるわりには、顔は笑ってるんだけど?
「お前ねー。彼女には優しくしなきゃ駄目だろーが。雫ちゃん、こんなのやめて俺にしときなー」
俺達の間に入って来た陸が、自然に雫の肩を抱いた。
雫も、顔を赤くしてるし。
ちょっと待ってよ!
「ちょっ、陸!?」
陸が抱いていた肩を、無理矢理引き離し俺の方へと、引き寄せる。
「俺のだから、やめろ」
「圭矢、恐ぇー。てか、お前でもそんな感情あるんだ~♪」
当たり前だよ。
俺だって、そんな簡単に触れられないんだからね。