【完】DROP(ドロップ)
陸と睨み合う俺の肩をトントンと叩き
「ねぇ。雫ちゃん……」
と、奈央が呆れた顔で指差した。
見下ろした雫は、耳まで真っ赤で。
その瞬間、俺が抱きしめている事に気がついた。
「あ。雫ごめんね」
抱いた肩を引き離す。
カッとなってつい……ね。
「で、呼び出した用事は何ー?」
雫も真っ赤だけど、冷静になった俺も真っ赤で。
陸は、そんな俺達の微妙な空気なんて読まずに尋ねてくる。
だけど、こんな時やっぱり頼りになるのは奈央なんだ。
「陸、この状況でわかんないの?」
さっきから呆れた顔をしっぱなしの奈央に言われても
「へ? この状況?」
なんてマヌケな答えしか出ない。