【完】DROP(ドロップ)
「あなたとの付き合いも考え物ね」
呆れた顔をしながら、今度は大きく溜息までつかせてしまった。
「えー。奈央ちゃん、待ってよ。何で? 何で?」
それでもわからないらしく。
前に奈央に聞いた事がある。
陸との報道が出た時、陸のどこがいいの? って。
そしたら、すぐに
『馬鹿なところ』
って言って、笑ったんだ。
だから、この2人は2人で上手く行ってるんだろう。
まだ言い合う、というか一方的に言う陸から視線を雫へと向ける。
驚いた顔をして2人を見つめる雫が、ゆっくりと俺を見つめた。
「そういう事」
それだけ。
この言葉だけで、わかるよね?
これ以上の説明なんて必要ないって思うんだ。
だから、俺を信じてくれるよね?
もう一度、陸と奈央を見た雫にゆっくりと近付く。
そして俺を見上げた雫の瞳には、またいっぱいの涙が溜まっていて。
優しく微笑みながら、それを指で拭ったんだ。
その瞬間、俺の胸へと飛び込んで来た雫。
まさか、雫がこんな事をするなんて。
陸達も居るのに。
だけど、それくらい俺は雫を追い詰めていたのかな。
ごめんね、雫。
本当にごめん。