【完】DROP(ドロップ)
雫の手を引き、立ちっぱなしの俺達はソファへと座り、陸がこのマンションに住んでる理由を話し出した。
全てを聞き終わった後、
「圭矢、ごめんね?」
哀しそうな表情で謝るから。
少し意地悪したくなったんだ。
「そうだよ。雫浮気するし」
「えっ、浮気なんてしてないよ!?」
うん、知ってる。
だけどさ。
だけど……悔しかったんだ。
何の迷いもなく、戸惑いもなく、雫のそばに居れるアイツが羨ましかったんだ。
「……アイツに。何もされてない?」
大きく顔を上下させて、
「何もされてないよっ!」
ハッキリ大きな声で言ってくれたんだ。
本当に何もされてないんだね。
良かった。
良かった、けどさ?