【完】DROP(ドロップ)
俺の方に振り返った雫は、じーっと俺を見つめたまま優しい顔をしていた。
だけどね、雫。
さすがに俺だって恥ずかしいんだけどっ。
泳ぐ目を、雫へと絡ませて
「そんな見ないでくんない?」
そう言ってるのに。
「圭矢……好き、だよ」
なんて……有り得ないでしょ。
もっともっと恥ずかしくなったけど、
「……うん」
頑張って頷いたんだからね。
絶対赤い顔を本当は隠したいのに我慢したんだからね。
落とした視線を、雫へと戻すと、ん? と笑ってくれたから。
「雫ー……」
そう名前を呼んだ時には、体が勝手に動いていたんだ。