【完】DROP(ドロップ)
ぷっくり柔らかい唇は、雫の唇で。
漏れる声は、雫の声で。
服を握る手は、雫の手で。
全部を、雫の全部を欲しい。
そう思ったんだ。
何度も何度も交わすキスを受け止めてくれて。
絡む舌を逃がさない。
俺へと身を委ね、絡む手が熱い。
聞いた事もない、甘い声をあげ。
見た事もない、色っぽい表情を見せ。
その一瞬を、見逃さないように見つめて。
火照る体を抱きしめて。
それよりも多いキスを交わすんだ。
流れる汗に雫が手を伸ばすなら、俺は零れる涙に手を伸ばす。
俺にとって雫が全てで。
雫にとっても、俺が全てだったら……。
もし、哀しくなったら手を絡めるから。
もし、切なくなったら深くキスするから。
もし、苦しくなったら強く抱き締めるから。
どんなに遠く離れていたとしても、この気持ちだけは変わらない。
俺は、雫を
――愛してる