【完】DROP(ドロップ)
どんな仕事も必死にこなそうとする雫をからかって。
俺は、好きな子を虐める小学生。
“愛情の裏返し”
そんな上手い言い回しなんていらねぇから。
今まで見て来ただけで、お前の事なんて何も知らねぇし。
積極的でもない俺から話しかけれるわけもない。
「……邪魔」
初めて話した言葉がコレなんて、酷いもんだ。
もう少し気の利いた言葉はねぇのかよ。
雫の後姿を見つけて、声をかけるチャンス。
なのに毎回、絡むようなセリフ。
でも、それに突っ掛かってきてくれるだけで嬉しくなってんだよな。
喧嘩友達みたいになってたけど、それのお陰で“先輩と後輩”って壁は全くなかった。
順序踏んで告白して。
考えてなかったわけじゃない。
ただ……雫の中には大切な誰かが存在していたんだ。