【完】DROP(ドロップ)



「おい、コラ待てっ……って、え?」



追いかけようとした圭矢君の学ランの裾を掴んだ、あたし。

驚いた圭矢君が振り返った。



「ありがとー……」



助けてくれて。

ありがとう。

気付いてくれて。

ありがとう。



漫画みたいな設定に、涙が出そうになった。



照れくさそうに、頭をかきながら、



「……逃がしてよかったの?」



なんて、聞く圭矢君に頷いてみせる。



「雫がいいなら、いいけど。って、もっと早く言わなきゃ駄目でしょ?」



って少し怒った圭矢君を嬉しいって思ってしまった。


だって、言ったら助けてくれたって事だよね?


それが嬉しくて嬉しくて、笑ってしまったあたしは、コツンって、頭を叩かれた。







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