【完】DROP(ドロップ)



「車で帰るからって言ってたけど、菜摘さんって金持ちなわけ?」

「え? あぁ、そうそう。菜摘ちゃんは……ってそんな話してるんじゃなくてっ」

「……振られたわ」



さっき気になった菜摘さんの一言。
それが簡単に解決した俺は、ボソッと呟いた。

聞いた事と違う話をする俺を少し怒って睨んでた松本が、次の俺の一言に目を見開いた。



「俺じゃ、駄目なんだよなぁ……」



独り言かの様に話す俺に



「よ、よし。飲むか!」



少し間を開け、そう言った松本は部屋から出て行ってしまった。



飲むって何だよー。

こんな時は、慰めてくれたりしねーの?

友達だろ。



そう思いながら、またベットへと倒れた。



バンッと大きなドアを開けて、再び入ってきた松本の手にはコーラーが2本。



「んだよ、コーラーかよ」



1本を差し出す松本に苦笑いを見せると、ちょっと不服そうな顔をしてその場に座り込んだ。

ベットから起き上がった俺は、栓の開いたコーラーを飲む。
よく冷えたコーラーが喉に沁みたんだ。




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