【完】DROP(ドロップ)



「だって、母ちゃんに酒くれって言ったら殴られて、コレ渡された」

「お前、馬鹿だろ」



笑える。



拗ねた顔でコーラーを飲む松本。


普通、親に酒くれ。なんて正直に言う馬鹿いねーって。



「親父が、酒があれば嫌な事なんて忘れるぞーって言ってんのにさぁ」

「そりゃ大人の話だろ。俺等まだ高1だしな」

「そうだ、巧! 俺達は高1なんだから恋はこれからだよ!」



……。



もしかして慰めてくれてんの?



必死な顔して言う松本がチラチラと俺の様子を伺う。



「お前……」

「な、何?」



嬉しそうな顔をして俺を見上げた松本に、



「やっぱ馬鹿だわっ」



と、大声で笑った。



勿論、松本は膨れっ面。

でも、今回のは松本に借りが出来たかもな。


そうだよな。
うん、そうだ。


まだ高1なんだから恋はこれから、だよなっ!



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