【完】DROP(ドロップ)


大声で笑ってる俺を、初めは不思議そうな顔で見ていた松本も一緒に笑い出した。

やっぱ、こいつ馬鹿だ。

だけど、凹んでるよりいい。
こんなくだらねぇ事で笑える方が、よっぽどいい。


「ちょっと、お兄ちゃん!」


突然、バンッと凄い音を立てて、部屋のドアが開いた。



「あー!!」



ズカズカと入って来た松本の中2の妹、鈴(スズ)ちゃん。

大声を出しながら、眉間に皺を寄せ松本が飲んでいるコーラーを指差し、



「あたしの瓶コーラー……お風呂あがりに飲むの楽しみにしてたのにっ!」



顔を真っ赤にして怒り出した。




「何だよ、鈴。母ちゃんが渡して来たんだから知らないって」

「お兄ちゃんの馬鹿っ! 最悪っ!」

「うるさいなぁ。今、巧の失恋飲み会中なんだから、あっち行けよ!」



おい。
鈴ちゃんにまで俺が失恋した事をバラすな。



「え……巧君、失恋したの?」



俺の隣に座り込んだ鈴ちゃんは、驚いた顔を見せた。



「え……」



覗き込み、俺に近付く鈴ちゃん。

少しずつ下がる俺。




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