【完】DROP(ドロップ)
「鈴、お子様は早く風呂入って寝ろよなー」
「うっさい、馬鹿兄貴!」
「なっ!」
興味津々の顔で俺を見つめる鈴ちゃんに、助け舟を出してくれた
“馬鹿兄貴”
元々は、お前が鈴ちゃんに俺が失恋した事をバラしたから聞かれてんだろーが。
本当、馬鹿兄貴。
「で、巧ちゃん、誰に振られたの?」
「あ、本当だ。巧、誰に振られたの?」
兄弟揃って俺の顔を覗き込んだ。
いや、待て。
鈴ちゃんは良いとしても。
何で、松本。
お前が知らないんだよ。
この“失恋飲み会”コーラーだけど。
これは何の為にしてたんだよ。
「ねぇ、巧ちゃん?」
「なぁ、巧?」
首を傾げ、聞いてくる2人に、ついに俺限界。
立ち上がり、飲みかけのコーラーを机に置いて、
「帰るわ! またなっ」
そう逃げる様に部屋を飛び出した。