【完】DROP(ドロップ)
「って、あぁ~!!!」
圭矢君の後に見えた景色に気付いて大声をあげた、あたし。
その声に、圭矢君だけじゃなく周りの人も驚いてあたしを見つめた。
ちょっと恥ずかしくなったあたしは小声で、
「圭矢君、さっきの駅で降りなきゃ駄目じゃない」
そう言ったのに。
「……その大声をさっきの痴漢の時に言えば良かったのに」
なんて、あたしを見下ろして笑う。
その笑った顔に、笑顔に!!!
あたしの胸は、キューンって痛くなった。
次の駅で降りた圭矢君は、
「痴漢には気をつけてね。また明日ね」
って。
また明日ねって。
それって、明日も会えるって事だよね。
明日も一緒に電車に乗ってくれるって事でいいんだよね?
あたしのキューンって痛くなった胸が、今度はドキドキと大きな音を立てて暴れた。