【完】DROP(ドロップ)
「鈴、好きになってもらえる様に頑張るからぁ!」
やっとまともに聞けた言葉はコレで。
「そう言えば、告白してきた時も長期戦って言ってたけ?」
「そうなんだけど……っ。もう諦めようって思わないから!」
「へ?」
ガバッと顔を上げた鈴ちゃんは、
「絶対、巧ちゃんを落としてみせるの!!!」
腫れた目で、真っ直ぐに俺を見つめた。
「いや……そうは言ったけど。好きになるかどうかは……っ」
“わからないじゃん”そう言いたかった言葉は、鈴ちゃんの唇で遮られた。
すぐ離れた唇を、手で押さえた俺を見て、クスクスと笑い、
「巧ちゃん、鈴の事意識し始めてるでしょ?」
って。
凄い自信と、満面の笑みと、真っ赤な顔が不揃いで笑えた。
しかし、最近の中学生は……すげぇな。
キスとか簡単に出来んのかよ。
「あ、それ鈴のファーストキスだからね! もちろんバージンも巧ちゃんだからねっ」
にっこり笑うと、先に歩き出してしまった。
いやいや……これは責任取れって事か?
まぁ、ガキに振り回されんのも案外楽しいのかもかもな。
*:.。.番外編-巧 END.。.:*