【完】DROP(ドロップ)
第3話【これが全ての始まり】
「おっはよー」
朝、いつもの様に教室へと入ったあたしは、雑誌を読む菜摘の肩を叩いた。
あの痴漢事件以来、ずっと圭矢君に会えてて毎朝気分は絶好調♪
そんな、あたしの方へと振り返った菜摘は、
「ちょっと、雫。この男の子かっこよくない?」
雑誌に載っている一人の男の子を指差した。
「んー? あ、かっこいいね」
圭矢君には負けるけど。
付け足したかった言葉は言わないけどね。
雑誌に載るだけあって顔はいい。
「何? 菜摘のタイプなのー?」
キラキラ輝く目で見る菜摘に言うと、
「うんっ! 陸って去年の人気投票で1位になったんだよ」
と、また雑誌を両手で持ち眺め出した。
陸とは、菜摘が指差したモデルの男の子の事らしい。