【完】DROP(ドロップ)
「奈央……ちゃん?」
「もう、早く“ドキドキした”って言いなさいよね」
「え……」
「早く“私の事……好きだって気づきなさいよね」
少し潤んだ瞳で、真っ直ぐに俺を睨んで。
それは膨れてるの?
あー。
俺、好きなの?
奈央を好きなのは、俺なわけ?
奈央が、俺を好きなんじゃなくて、俺が奈央を好きって事なのか?
「もう、馬鹿っ!」
「へ?」
「何で、そんなに馬鹿なのよ」
「え。あ、ごめん」
って、俺は何故謝ってるんだ。
いや、奈央の顔が恐いから、つい謝ったけど。
「あ、えっと奈央ちゃん」
「何!」
キッと俺を睨む奈央に、肩をすくめてしまう。
多分、こんな事聞いたら、俺……殴られるかもしれないんだけど。
でも……聞くしかないよな。
「俺って、奈央ちゃんの事、好きなのかなぁ?」