【完】DROP(ドロップ)



俺は、奈央を好きだって気づいて、それに興奮してた。


こんな感情は初めてで、どう言ったらいいのかわかんねーし。

だけど、ドキドキと高鳴る胸が抑えられない。


こんな時は、どうすればいいんだろう。



そっと奈央に手を伸ばし、髪を触れようとした瞬間。

顔をあげられ、その手を引っ込めた。


キョトンとした顔を見せ、小さく溜息を吐くと



「陸、薬より治る方法があるんだけど……」

「え? 頭痛が? 何? 何?」



チョイチョイと指で呼ばれ、近付いた俺の耳元で



「キスしてくれたら治る……と、思う」

「いいの!?」



大きな声で聞き返した俺に真っ赤な顔をしていた奈央。



「そこは、黙ってするところでしょ? この間の強引さはどこへ行ったのよ!」

「え、強引さ?」

「楽屋でキスした時っ!」



あぁ。



あれは、奈央が何か変だったし。

それに俺の事、好きなんだって思い込んでたから。



「って、奈央ちゃん! 俺の事……好きなんだよね?」



忘れてた。

自分の気持ちに気がついた嬉しさで、すっかり忘れてたけどコレが1番大切な事だったんだ。



「……まぁ、陸の初恋は私みたいだし。そういう事でいいわよ」



プィッとそっぽを向いてしまった奈央ちゃを力いっぱい抱きしめていた。



それだけで、すげぇドキドキしまくって、手が震えて。
だけど俺、奈央が好きなんだ! って思えて、また嬉しくなった。





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