【完】DROP(ドロップ)
圭矢とエレベーター前で別れ、小走りで向かった部屋のチャイムを鳴らした。
「奈央ちゃん、ただいま!」
「……煩い」
玄関を開けると、愛しい奈央ちゃんのお出迎え。
ちょっと言葉は冷たいけど(態度もだけど)それでも待っててくれたのが嬉しい!
あれから、秋人が店を閉めて結婚して。
俺達の思い出いっぱいの場所はなくなって寂しかったけど。
今は、隣に奈央ちゃんがいるし。
DROPのメンバーだっている。
支えてくれる人も、応援してくれるファンも。
俺、この仕事して、すげぇ良かったかも!
奈央ちゃんには『単純馬鹿』って言われるけどね。
「圭矢のとこ、雫ちゃん来てるの?」
「らしいよー」
「じゃあ、遊びに行って来ようかな♪」
最近は、俺より圭矢の彼女の雫ちゃんがお気に入り。
「だーめっ!」
そう言いながら、部屋を出ようとする奈央ちゃんを後から捕まえた。
『えー』なんて文句は聞こえない。