【完】DROP(ドロップ)
drop
*:.。.DROPおまけ.。.:*
「雫…俺、もう出なきゃ」
ギュッと後から抱きしめる雫の肩越しに時計を見て溜息を吐いた。
「えっ、あ、そっか。うん!」
簡単に納得してしまった雫は、俺の腕から抜け出そうとする。
……。
「え!? 圭矢?」
それを阻止するかの様に抱きしめる腕を強めた。
だってさ。
雫は、またバイトに行くんだよね?
そりゃ辞めるわけ、ないだろうけど。
でも……。
だって、それって。
「圭矢? 時間なんだよね?」
俺の考えている事なんて全くわからない雫は、腕を手で掴みながら焦る。
それに、さ。
少しは寂しそうにして欲しいなーなんて……絶対に言えないけどさ。
「ちょっとぉ、圭矢ぃ」
さらに強めた腕に、苦しそうな声が聞こえる。
……わかってるよ。
雫が、そんな子だって知ってる。
あー。
本当に、もう出なきゃヤバイ。