【完】DROP(ドロップ)
「……じゃあ行く…よ?」
緩めた腕を今度は雫がギュッと掴んだから、驚いた。
中途半端に立ち上がった俺を見上げて、ほんのりピンクに染まった頬と潤んだ瞳。
「そんな離れたくなくなるような事しちゃ嫌だよ」
今、絶対雫より赤くなった自信があるよ。
そんなセリフ、今言うなんて駄目だって。
雫を抱きしめて目茶苦茶にしたくなるじゃん。
俺だけのものにしたくなるじゃん。
「……じゃあ、ずっとそばに居ればいいじゃん」
「え……っ?」
真っ赤な俺は、真っ赤な雫にキスをした。
こんな事を言うキャラじゃないけど。
そんなのはわかってるんだけど、ね。
そんな恥ずかしい事も言えちゃうくらいに、
こんな恥ずかしい事を思っちゃうくらいに、
雫だけなんだよ。
【DROP END】
→この後は後書です☆