【完】DROP(ドロップ)
「くー。写真も駄目なわけー」
隣で悔しそうにする菜摘に気付いて思い出した。
「あー! もう菜摘のせいで車両変えられちゃったじゃない! 馬鹿ー」
せっかく毎朝一緒だったのに。
いつもなら隣に居るはずの圭矢君が、菜摘に変わってしまった事に文句を言いながら登校した。
それから毎朝、路線だって違うのに。
圭矢君の1枚を撮る為に、数週間頑張る菜摘。
正直、あたしは迷惑なんだけどね。
その間、圭矢君は一緒に行ってくれないんだもん。
早く諦めてくれないかなぁ~。
この執念は一体どこから来るのか。
ある意味、尊敬すらしちゃうよ。
あれだけ苦労したくせに。
数週間、頑張って無理だった菜摘は、D高校に通う友達から写真を貰って応募したらしい。
なら、初めからそうすれば良かったんじゃない?
そう言ったあたしに
『自分で頑張ったから意味があるんじゃない』
なーんて、全く説得力のない事を言っていた。