【完】DROP(ドロップ)
「え? あぁ、雫か。おはよう」
あたしを見下ろしながら言う姿は、やっぱりかっこいい……。
パッと目を逸らしたあたしを不思議そうに見つめると、
「今日はどうしたの? 雫らしくないね」
なんてクスッと笑った。
うぅ。
そりゃそうだよ。
気合いを入れた朝からあんなの見たら、誰でも凹むよ。
「圭矢って、甘い物とか嫌いだったりする?」
って、こんな事を今聞いたら
『チョコ嫌いですか?』
って聞いてるも同じじゃない!
あたしの馬鹿!
「んー。嫌いでは、ないけど」
嫌いではない!?
なら……じゃあ好きでもないって事だよねぇ。
はぁぁぁぁぁ~。
「……雫、チョコでもくれるの?」
「うぇっ!?」
ストレートに言われて焦ったあたしは、変な声が出る。
それを見ながら、圭矢が笑う。
バレた恥ずかしさと、変な声を出した恥ずかしさのダブルで、あたしの顔は真っ赤になった。