【完】DROP(ドロップ)



「え? あぁ、雫か。おはよう」



あたしを見下ろしながら言う姿は、やっぱりかっこいい……。



パッと目を逸らしたあたしを不思議そうに見つめると、



「今日はどうしたの? 雫らしくないね」



なんてクスッと笑った。



うぅ。

そりゃそうだよ。



気合いを入れた朝からあんなの見たら、誰でも凹むよ。



「圭矢って、甘い物とか嫌いだったりする?」



って、こんな事を今聞いたら

『チョコ嫌いですか?』

って聞いてるも同じじゃない!



あたしの馬鹿!



「んー。嫌いでは、ないけど」



嫌いではない!?


なら……じゃあ好きでもないって事だよねぇ。

はぁぁぁぁぁ~。



「……雫、チョコでもくれるの?」

「うぇっ!?」



ストレートに言われて焦ったあたしは、変な声が出る。

それを見ながら、圭矢が笑う。



バレた恥ずかしさと、変な声を出した恥ずかしさのダブルで、あたしの顔は真っ赤になった。


< 50 / 374 >

この作品をシェア

pagetop