【完】DROP(ドロップ)



『電車が参りますー』

アナウンスを聞いて、流れる風に背き歩き出す。



これから、ずっとこんな想いを抱えたまま過ごすの?



あの人の後姿が似てるな、とか。

絶対、居ないはずの時間なのに目が探してしまう事とか。

こんな事は、時間が解決してくれるのかな。


それとも……このホームに立つ限り忘れられないの?



今日も遅刻。



電車のドアが開き乗り込む瞬間に時計に目をやる。

今から快速で学校へと向かっても絶対に間に合わない。



ゆっくりと進み出した電車の窓から、外を何気なく見つめていた。

少しずつあがるスピードに流れる景色も速くなる。



え。圭矢……!?




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