【完】DROP(ドロップ)
ボーっとしていたあたしの目が大きく見開く。
進む電車の窓から、ホームにある椅子の隣の柱に背中をあずけていた圭矢。
あれは間違いじゃない!
絶対、圭矢だった。
何で、何でいるの?
遅刻……かな。
今からだと、どの電車に乗っても間に合わないはず。
卒業式前だし、登校時間が遅かっただけかもしれない。
そうだよ、そうだよね。
圭矢が遅刻なんてするわけないし。
だけど、凄い偶然。
会いたい! そう思った時は中々会えなくて。
もう会わないって決めたら、こんな簡単に見つけちゃうんだもん。
ちょっとだけしか見れなかったのに、こんなに嬉しくてドキドキするなんて。
あたし、本当に圭矢が好きなんだ。
初めは一目惚れ。
だけど、圭矢を知るうちにどんどん好きって気持ちが大きくなった。