【完】DROP(ドロップ)
「うわっ」
勢いよく突っ込んだあたしのせいで、椅子へと押し倒されてしまった圭矢。
あたしは、その上に乗る形となった。
「……痛いよ、雫」
圭矢は、困った顔をして笑う。
溢れ出しそうな涙を堪えながら、必死に言った言葉。
「本当に……好き」
その後に、零れ落ちた一粒の涙。
それは、居てくれた嬉しさと。
貴方を好き過ぎて出た涙。
この気持ち、誰にも負けない自信があるよ。
圭矢、本当に好き。
驚いた顔をした圭矢は、フッと笑って。
「もう負けたよ……」
そう言って、あたしの流れ落ちた涙を大きな綺麗な指で拭ってくれたんだ。