【完】DROP(ドロップ)
-drop story-圭矢
朝、外に出ると吐いた息がまだ白い、そんな寒い日。
黒のマフラーで口元を隠し、少し肩をすぼめた俺は駅までの道を歩き出した。
今までの3年間。
大体、同じ時間に家を出て。
その時にきた電車に乗る。
ずっと、そうだった。
決まりとか別にないけど、ただ何となくが習慣になっていたんだ。
なのに。
最近はいつもより30分は早く家を出るようになった。
雫と出会ってから、どれくらい経ったかな。
毎朝、俺を笑顔で待つ雫。
会えば『好き』って軽く告白してきて。
誰とも付き合う気はないって言っているのに、それでも毎朝待ってる姿を当たり前だと思い始めたのは、いつからだろう?