【完】DROP(ドロップ)
家に戻ってからも何度かかけると、ようやく繋がった携帯。
「あ、圭矢!」
《んー、雫?》
さっきよりはハッキリとした声で答えてくれる。
「良かった。今大丈夫かな?」
《ん?》
「あ、あのね……」
説明し出したあたしは、圭矢からの思いがけない言葉に驚いた。
『あぁ、あの雑誌ね。見たよ』
3日前に友達に言われ見たらしい。
あたしは、圭矢が知っていた事に驚いたんじゃなくて。
どうして知っていたのに、あたしに言ってくれなかったんだろう。
そっちの驚きの方が大きかったんだ。