ハロウ、ハロウ
「リコ……、百合子が心配なの?」

「百合子、何を言ってるのか解らないよ……」

「そうだね、こうしよう、これからボクと遊ぶんだ。勝ったら百合子と家にかえれるんだよ」

「百合子、帰ろうよ」

「どんな遊びがいい? 思い切り楽しくて、叫びたくなるような遊びをしようよ、リコ」

「百合子!」


「うるさい!」


「百合子……」


百合子は恐ろしげな笑顔で叫ぶと、私に背を向けて走り出した。


「百合子!」

「キャハハハハ♪」

「百合子ー!」

「―――リコ、ボクを思い出さなくていいよ。ボクはリコを覚えている。リコを見ている。リコは幸せなんだ。リコは幸せじゃないんだ。リコは家族が大事なんだ。リコは百合子が大事なんだ」

「…………っ!」


暗闇に入った百合子の後ろ姿が、一瞬××に見えた。

細い腕、黒い髪、黒いランドセル。
その後ろ姿が、私の恐怖をかきたてた。


胃の底から胃液が逆流してしまいそうな感覚がする。足が本能的に後ろに下がった。


「ボクを思い出さなくていいよ。だからさ、リコ

















ボクと、死ぬまであそぼ?」





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