ハロウ、ハロウ
「10年前、お姉ちゃんの同級生で、死んだ子、居たでしょ」
「…………」
一気に愉しい気持が吹き飛んだ。
「………居たよ」
「お姉ちゃん、六年だったから卒業して知らないだろうけど、毎年ね、ハロウィンになると………その子が、戻って来るっていう、噂があるの……」
「は?」
「だからっ、その子が……皆の中に紛れて遊んでたり、誰かに悪戯したり……」
「……………」
「……………」
「ぷっ」
「わ、笑わないでよっ、怖いんだよ!?」
「いや、だって、ははははっ!」
馬鹿らしい
そんな噂があるとは。
「はははは、はいはい、怖いねー」
「本当だよっ!嘘じゃないんだよっ!」
「解った解った」
「解ってないでしょ!」
「いや、嘘くさいし」
「本当だって!」
「ん〜?」
「馬鹿にするなッッ!!!」
いきなりだ。
百合子が私を見上げ、見たこともない恐ろしい表情で睨んで、鋭い声で叫んだのだ。
「………あ、ゆ、百合子………?」
「…………」
百合子は何の反応もせずに、さっさと自分の部屋へ戻って行った。
なんだろう、今の感じ。
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