ハロウ、ハロウ



「ただいまー」


仕事を終えて帰宅したのは、何時もより大分早い時間だった。
帰り道、ちょうど百合子に会ってもおかしくないのだが。


「あら、おかえり。早かったわねぇ」


母さんが出迎えに来て、私は軽く違和感を覚えた。

何時もは百合子が真っ先に来て「おかえり」を言うからだ。


「百合子は?」

「まだ帰って来てないのよ……。大丈夫かしら」

「………」


小学生四年生である百合子は部活をしていないから、この時間には家に帰って居ないとおかしいのだ。


「……………」


何だか嫌な予感がして、私は脱ぎかけていた靴を履き直した。


「母さん、私、迎えに行ってくる」


そして母さんの応えも聞かず荷物を押し付けて、玄関を飛び出して行った。






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