second Life~主婦だって、恋してる~
部屋に着いても、華からのメールはない。

落ち込みつつ、携帯をテーブルの上に置いた。

ブブブ…

メールだ。

「…華さんから」

『こんばんは。メールありがとうございます。正樹の試合は、月末の最後の日曜日、キックオフは、午後1時です。正樹、三宅さんの事とても気に入って、また見てもらいたい、話したいって言ってました。

それではまた。おやすみなさい 華』

几帳面な文面に、健吾はクスッと笑った。

本当に、可愛くて、素敵な人だ。と、健吾は思った。

月末まで頑張れば、華に会える。

華の笑顔が見れる。

正樹もとても良い子だ。純粋で真っ直ぐで。

気も合うし、話しも合うし。

『ありがとうございます。必ず行きます。楽しみにしてます。おやすみなさい 健吾』

華に、今すぐ会いたいが、それは叶わないのは分かっている。

彼女は人妻で、母だ。自由に動けないことはわかりきってる。だからこそ、なおのこと会いたくなってしまうのかもしれない。

「…会いたいな」

ソファーに座って一人呟いた。

すると、とても、寂しくなった。

今まで、こんな気持ちになったことなんて1度もなかった。

今まで、彼女だっていたことはあった。でも、一人でいることが何より大切だった。

彼女よりも、一人でいることが。

それなのに、華に傍にいて、笑っててほしい。

華を抱き締めたい。色んな気持ちが一気に溢れ出す。


…その頃、華もまた、健吾の事を想っていた。

…月末が早くくれば良いと思わずにいられなかった。
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