理不尽
退院
「ただ、1つだけ助かる方法があるんだ」
彼はそう言って笑った。
やっぱり眩しい笑顔で
「聞いたことあるんじゃないかな。
“心臓移植”。その手術をすれば僕は助かるかも知れない。」
あぁ、彼を救う方法があるんだ…。完全に諦めてしまわずに済むんだ…
ホッとして、気持ちが緩む。
「でも…知ってる?
脳死の人の心臓は動いていて、髪の毛だって伸びるんだよ…?
それなのに…生きてるはずなのに…僕がその心臓をもらってしまっていいのかな…」