理不尽
後から私達も目を覚ました。
そっと布団が掛けてあった。側に置いてあった日記をカバンの中にしまった。
彼は本を読んでいた。
「いつも、どんな本を読んでるの?」
入院中に聞けなかったことを聞いてみる。
「ミステリー。自分も読みながら謎解きしたりするのが楽しいから。」
無邪気な少年のような顔をする。そんな彼にときめいてしまう。
私はミステリーって苦手。
大概私の推理が当たらないから。
でも彼は挑発されているかのように燃えるんだって。
「それにさ、ミステリーには涙を誘うような描写も無い。だから、病気のことを忘れられる、特別な時間を作ってくれるんだ。」
病気のこと忘れられる。。。
彼にとっては逃げたい現実で
それでもやっぱりどうしようもない現実なんだ。
「オススメのミステリーは?」
ミステリーに興味が無い癖に、彼のことが知りたい一心で聞く。