理不尽

桃は車椅子を動かすのをやめた。一気に雨が強くなり、地面に水滴が叩きつけられる。


私の目からも涙が溢れた。溜まっていた何かが留めなく溢れ出す。彼女はいつぶりか、声をあげて泣いた。


顔を涙が伝う。それでも構わずに手に力を込めて進み始めた。何も考えずにがむしゃらに。

ふと気がつくと病院の前に来ていた。

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